一ノ瀬志希の動画解説 30秒のアプローチ
みんな、やっほー!志希ちゃんだよ~。というわけで、今日はよろしくね~。
……え、目的の説明?あ、まだだったね~、ゴメンゴメン。
今日のお仕事は、終盤の解説だって。いつもはこの企画、失踪してるんだけど…プロデューサーさんに捕まっちゃった。にゃはは~。
で、収録したのがこれ。この終盤のワンシーン。
だいたい、6:00くらいから始まるよー。
題名の通り元ネタがあって、それがこれ。
NHK杯将棋トーナメント 準々決勝
森内竜王―谷川王位 戦 (解説 羽生三冠)
2004年 2月8日放映
名局と名高いから、覚えてる人もいるんじゃないかな。早指し戦で、3人合わせて5つのタイトルが集まるなんて豪華な顔ぶれだね~。
ちなみに、ありすちゃんがやってた聞き手は千葉女流だね。志希ちゃんはアメリカに行ったりしてたからよくわかんないけど、菜々さんが「懐かしいですねぇ…花の80年生まれ」とか呟いてたよ~。
この将棋、互いに居飛車党のはずなのに相振り飛車、しかも相四間飛車になるんだよね。最初から力戦ってわけ。
展開としては、後手の谷川王位が仕掛けて有利になるんだけど、森内竜王も鉄板流って言うぐらい受けが強いから、終盤まで難しい戦いになったんだよね。
全部解説してもいいけど、それだとたぶん本題に入る前にみんな疲れちゃうから一気に終盤まで飛ぶよ~。
動画で演じたのは、このあたりからだね。
動画が始まる1手前、△4六角の王手には合い駒するしかない。でも、使える駒は銀か桂。
で、このときに後手玉の状態が関係するわけ。後手玉は▲8四と△同銀▲8三銀までの詰めろだから、ここで▲3七銀と先手を取ろうとすると、後手玉の詰めろがほどけちゃうってゆー仕組み。
だから、▲3七桂と打つしかない。
この局面で、解説の羽生三冠は後手の勝ち筋に気付いたわけだけど、手順は省略しちゃってるから解説してくね~。
実はこの瞬間、先手玉は詰むのです!ババーン!
……ダメ?もっと細かく?仕方ないなぁ~。
本譜は△9六銀▲8四銀で後手玉は受けなし。▲9三と△同香(桂)▲8三飛成 までね。
中途半端に攻めて駒を渡しても、9五に打たれて詰み。
つまり、ここで後手が勝つには詰ますしかないわけ。分かった?
NHK杯は1手30秒だから、考える時間を確保した意味もあるかな。この局面で、最後の考慮時間も使い切ってるしね。
どう詰ますか…、王手にもいろいろな手段があるからね~。1手間違えれば、奈落の底。将棋は逆転のゲームだから、慎重になってやりすぎることはないよ。
△3七角成といくのは、▲同玉で次の王手をかけにくい。△3八竜▲同玉△4八金と続けても、▲3七玉で駒が足りなくなるね。(変化図1)
△3九銀も筋だけど、▲1七玉とかわされるとナナメに効く駒がないから詰まない。
(変化図2)
というわけで、△3八竜が正解。▲同玉に△4八金から精算して、今度は角が生きてるのが重要なポイントだね。
△4七歩のときに、横に逃げると詰んじゃう!駒の切る順番で、勝敗が変わっちゃうんだね~。
(変化図)
(▲3八玉だと、△4八金▲2八玉△2七香▲同玉△3八銀▲1八玉△2七金まで)
3七の地点が塞がってるから、上に脱出できなくなってるね~。
下から追いかけて、角を取らせる。で、△4七金が投了図。
……こっから先も解説するの?志希ちゃんもう疲れた~。
え、「失踪したらくさや持ってくる」?…それはゴメンだね。
『玉は下段に落とせ』『中段玉寄せにくし』とは言うけれど、今回は例外。
格言っていうのは、事象の一般的な共通項を述べただけだからね~。
未知の領域に、常識が足枷になることはままあるよ。
今回は、9九にいる馬がよく働いてるから、これで詰むんだよね。
▲3五玉と逃げるしかない時点で相当働いてるけど、△2三桂▲2四玉のときに△3三金と打てるわけ。遠くの馬がよく効いてるよね。
さらに、1一の香車の登場~。▲1三玉を防いでるから、先手の上部脱出が不可能なのだ~。作ったような展開だね!
先手は▲2五玉と下がるしかないけど、△2四香までの詰み。歩を打つと打ち歩詰めだから、ピッタリの詰みだね~。
とまぁ、実戦の最終盤、14手だけ解説してみたけど…。ついてこれた?
この対局はその前から駆け引きがすごいから、調べて並べてみるのもおすすめだよ~。
…実際は、こうやってしらみつぶしに読んではいないと思うけどね。
人間…特に棋士は、読む量はそこまで多くない。局面の可能性の広さに比べれば、だけど。
でも、膨大な経験と、学習によって正解を導き出す。極端なまでの「選択的探索」なんだよねー。
だから、詰みそうもない余分な変化は切り落として読めるわけ。だからこそ、羽生三冠は詰みに気づいたし、谷川王位も詰ました。
人間の脳のスペックをフルに使った30秒って考えると、ゾクゾクするよね~。
結論としては、将棋というテーマに対して人間が突き詰めていった結果、生まれたシーンがこれ、ということかにゃ~。
羽生三冠はもともと多弁な解説じゃないし、ネタバレにならないよう配慮したことが拍車をかけた感はあるけど…。
みんな、あたし達と同じ人間だ…ってことは忘れない方がいいかもね。
この対局はキレイに決まったけど、限られた時間で指す以上、ミスは出て当たり前のものだよ。例え、どんな天才であっても。
「最高の結果」だけ頭に残って、その過去で棋士を定義してしまったら…どっちも苦しいからね~。
科学だって、1つの成功の下には山のような失敗があるのだ~!
そこから、何を学んで次に活かすかが大切だと思うよ。
『良いときは褒めて、そうでないときは応援して』って、誰か事務所の子が言ってた!たぶん!
よーし、解説終わり~!
これからも、もっと面白いことを探しに行くのだ~♪
また面白いテーマがあったら、来るかもね~。
それじゃあ、バイバ~イ♪
あ、そうそう。プロデューサーが言ってたけど、この企画いろんな子が入れ替わりやってるけど、じょーむだけが皆勤なんだって。
…今は専務?細かいことは気にしなーい♪
(了)