新田美波
昨年度の対局は、ドラマの連続だった。 藤井四段の快進撃に始まり、羽生竜王の永世七冠、引退を賭けた不屈の大激闘……。1つずつ取り上げればキリがないくらい、沢山の名勝負が観る人の心を動かした。 その中で一局、振り返って書いておきたい対局がある。決…
「ミナミ、横歩取りがヘンです!」 ……突然どうしたの?アーニャちゃん。 「これを見てください!」 えっと……『青野流』だね。 「最近たくさん見ますね。でも、青野流はメンシェヴィキ……少数派だとミナミに教わりました!」 一時期は全然指されてなかったから…
『事実は小説より奇なり』有名な言葉だけれど、その瞬間を目の当たりにすることはほとんどない。フィクションを超える事態なんて、頻繁に起きたらそれはそれで困るだろう。 ……でもこの一日は、起きるべくして起きたドラマだったと思う。 今期のA級順位戦は、…
「ミナミ、約束どおり、弟子にしてもらいにきました!」 ……えーっと、どういうことかな?アーニャちゃん。 「最近、これが流行ってると聞きましたね?」 事務所のソファーに正座して、待ってたの? 「ダー、ミナミが来る時間は、いつも決まってますから」 隣…
羽生善治という棋士が七冠を制覇してから、20年以上の年月が経ちました。一度すべての頂点を極めたその人は、今に至るまで第一線を戦い抜き……誰も見たことのない場所へ、たどり着こうとしています。 永世竜王、そして永世七冠。一般的な言葉に置き換えると「…
奏 ねぇ、志希 志希 んにゃ? 奏 さっき美波から、書類を渡されたのだけど……貴方、何かしたの? 志希 んー?何かしたと問われたら、『した』が正解になるけど―― 奏 具体的に。 志希 にゃはー、そうだよねー。強いて言うなら……研究? 奏 ……的を射ないのはいつ…
志希 にゃっほー、美波ちゃん。ちょっといーい? 美波 あれ、志希ちゃん。珍しいね、何か用事かな? 志希 んー、最近さ、美波ちゃんが講義やってるって聞いたんだよねー。 美波 講義というか、アーニャちゃんの気になったところを教えてるだけだよ? 志希 じ…
「ミナミ、ドーヴラエ ウートラ!」 …………。 「ミナミ?」 え、アーニャちゃん!?ごめんね、ちょっと集中してて。 「ダイジョブ、ですね。でも、ミナミが悩んでるところ、珍しいです」 うん。ある形について質問されたんだけど、自分でも理解できてるか不安…
本局は、あってはいけないものでした。 あまりにも唐突に始まった4ヶ月は、闇のような日々で。 ここに詳しく書くつもりはありませんが、これだけは何度繰り返してもいいでしょう 三浦九段は、無実でした。冤罪でした。 だから、対局に戻ってきました。 言葉…
お久しぶりです、新田美波です。遅れましたが、新年あけましておめでとうございます。今回もプロデューサーさんがテストを作成したそうなので、添削をすることになりました。 嫌な予感もしますが、よろしくお願いします。 問題1:『三歩』から始まる格言を…
「ミナミ、ちょっと聞きたいこと、ありますね?」 どうしたの?アーニャちゃん。 「最近、振り飛車の将棋を勉強してましたね。でも…ちょっとおかしいです」 どういうこと? 「これ、見てください」 あ、藤井システムだね。定跡型に見えるよ? 「ニェット!こ…
「ミナミ、王座戦がカニェッツ…アー、終わりになってしまいました…」 そうだね。春の名人戦から半年間ずっと観てきたけれど、いろいろなことがあって…あっという間だったかな。 「ですからミナミ、王座戦の解説してほしいです」 ……アーニャちゃん、それは流…
『あと1勝』という言葉は、当時者には残酷でしかない。 1つ勝つということはそれほどに苦しく、重いものだ。 そして、このシリーズでは一番…使うべきでない言葉なのだろう。 あの名人戦から季節は移り変わり、もう秋になる。その間にも、棋界ではいろんな…
(数日前、事務所のルームにて) アーニャちゃん、おはよう!えーと、ドーブラエ、ウートラ…かな? 「ドーブラエ ウートラ!おはよう、ですね。ミナミ、ロシア語も上手です」 そう?まだ、アーニャちゃんから教わってる途中だけどね。 「ミナミはもっと自信…
みなさん、お久しぶりです。今回は、プロデューサーさん曰く「息ぬきの企画」だそうです。えーと、企画書があるので読みますね。「事務所で将棋が流行しているのはいいのですが、各アイドルで知識にバラつきがあるようです。そこで把握のために、テストを行…
みなさんお久しぶりです、高垣楓です。 今回は久しぶりに、私がお送りしますね。よろしくお願いします。 第87期棋聖戦五番勝負 第5局 2016年 8月 1日 羽生善治棋聖 対 永瀬拓矢六段 ・対局前 もう、季節も夏です。おつかれサマー…と言いたいところ…
この15年、将棋界を制覇してきた『羽生世代』。そしてその『ちょっと下の世代』。さらに、20代半ばの『渡辺竜王を中心とする世代』そしてそれよりも『もっと若い世代』。 この『4つの世代』が、これからの10年、熾烈な争いを繰り広げることになるのだ…
それじゃあ、始めようか。よろしくお願いします。 「ダー、よろしくお願いしますね」 細かく解説すると終わらない戦型だから、流れで大きくとらえていくね。それでも大変なんだけれど…。 「ミナミ、ファイトですね」 そうだね。…美波、がんばります! もくじ…
この将棋を語ることは、痛みを伴うかもしれない。朝、そう思いながら事務所に向かった。 名人戦は第5局2日目を迎え、妙な空気が事務所にあった。既に決戦になりそうだったからということもあるし、この1局で名人戦が終わるかもしれない…という緊迫感もあ…
世界コンピューター選手権のponanza―技巧戦を、アイドルが観て話し合うみたいです。
みなさん、こんにちは。高垣楓です。初めて、私が担当させて頂きます。 私は…口下手な人間です。 ダジャレは言えても、自分の考えや感覚を伝えることが難しいと思っていました。 ですから、美波ちゃんの定跡解説をはじめ、事務所の他の子が記事を担当するこ…
~事務所の玄関にて~ あ、アーニャちゃん、おはよう! 「ドーブラエ ウートラ! おはよう、ですね。少しずつ、暖かくなってきました。外の桜がきれいですね」 もう四月だから…そっか、ロシアや北海道はまだ寒いもんね。まだ慣れないかな? 「ニェート、それ…
美波の将棋講座を、アーニャが受けるみたいです。 …今日のテーマは「玉の使い方」 守るための玉にも、いろいろな手があるようです。
もう、アーニャちゃん、誤解を招く言い方はやめてよ…。 「シト?アーニャ、何かおかしなこと言いましたか?」 だってあの後、菜々さんに追いついて事情を説明しようとしたら、 『問題ないです。ミナミは、攻めと受けをイチからアーニャに教えてくれただけで…
「ミナミ、ちょっといいですか?」 どうしたの?アーニャちゃん 「アー、矢倉の勉強をしていたのですが、これを見てくれますか?」 うん?…矢倉91手組だね。これがどうしたの? 「ダー、そうですが…これ、91手も先まで定跡ですか?ヴィリデューカ…変化で…